2006年10月26日
早川千晶

カテンベ腎臓移植基金の設立にあたって
カテンベの紹介
基金口座振込み先
UPEPOアフリカの風ネットワーク



カテンベの手術、成功しました!

お母さん、カテンベともに、元気です。


カテンベの体に移動したお母さんの腎臓は、カテンベの体に入ったとたん、すぐに働き始め、すごい勢いで尿を放出しています。

皆さん、ありがとう、ありがとう、ありがとう!


今日の朝6時に病院に行くと、カテンベはとてもすっきりとした表情で、笑っていました。さぁ、これから手術に向かうぞ!と、迷いや恐れのみじんもない、とても美しい表情でした。

お母さんも、とても堂々とした美しい表情で、笑っていました。

私たちは、静かに語り合いながら、手術室に向かう時間を待ちました。

朝7時半過ぎにお母さんが手術室に入り、それから間もなくしてカテンベも。

手術室の扉の向こうに運ばれていくカテンベは、笑顔で、私たちに手を振りました。

7名のお医者さんたちのチームが中に入り、予定より少し遅れて午前9時に手術開始。

私たちは手術室の扉の外で、心静かに待ちました。

誰も言葉を発することもなく、静かな時間が過ぎました。

午前11時。主治医のムウォンゲラ先生が扉から出てきました。

もっと時間がかかるかと思っていたので、思いがけない早さに驚きました。

ムウォンゲラ先生はまっすぐに私たちのもとにやってきて、こう言いました。

「成功です。お母さんの腎臓は、カテンベの体に入ってすぐに働き始め、どんどん尿が出ています。まだ処置に少し時間がかかりますが、心配ありません。しばらくしたらこの扉から出てきますよ」

ムウォンゲラ先生は、興奮を抑えきれないようなはればれとした表情をしていました。これまで見たことのない先生の表情でした。

私たちは、しばらくの間、まったく言葉を発することができませんでした。しばらく、身動きすることもできなかった。あまりにも強い感動が押し寄せてきたとき、言葉すら出てこないのだということを私ははじめて知りました。

声にならない言葉で、ただひたすら、ありがとう、ありがとう、ありがとう!と、その一言だけが繰り返し突き上げてきました。

それから約1時間後に、お母さんが扉から運ばれてきました。

そしてそれからまたしばらくしてカテンベが。

お母さんは目をあけて私たちを見て、かすかにほほえみました。

お母さんの顔の美しかったこと。お母さんの目に涙が浮かんでいました。息子の命を助けたいという一心で、手術の恐怖を乗り越えたお母さんに、あらためて、心からの尊敬の念がこみ上げました。

カテンベはすぐにICUに運ばれました。経過は良好。管につながっている袋に、どんどん尿が流れ込んでいきます。まるで奇跡を見るような想いで、私たちはそれを見つめました。

それから夜までの間に、時間をかけて、お母さんとカテンベはだんだんと目覚めていきました。意識がだんだんはっきりしてきたところで、お母さんが最初に発した言葉は、「ありがとう、感謝します」という言葉でした。麻酔から目覚めていくにしたがって、お母さんにはひどい痛みが襲ってきたようですが、その痛みに耐えながらも、とてもはっきりと、微笑みながらお母さんは「ありがとう」と言いました。これで息子の命が助かると、自信に満ちた母親の神々しい表情でした。

カテンベが目覚めるにはまだしばらく時間がかかりました。ガラス張りの部屋で、私たちは中に入ることができませんが、ガラス越しにカテンベを見守っていました。

そして目を開けたカテンベ。大きく目を見開いて、びっくりするほどとても澄んだ目で私たちを見ました。だけど次の瞬間には、また睡魔に引き込まれていきました。

カテンベは眠り続けましたが、その表情はとても静かで、こんこんと気持ちよく眠り続けているというかんじでした。

数時間後には、カテンベは時おり目を見開いては、ゆっくりと私たちに向かって手を振るようなしぐさをするようになりました。

午後7時にはだいぶしっかりした表情になってきて、ガラス越しに私たちが声をかけると、それに答えてうなずいたり、微笑んだりするようになりました。



今日という日は、私は、自分のこれまでの人生において最大の感動をいただいた日でした。

お母さんの体から取り出された腎臓が、カテンベの体に入ってすぐに働きはじめ、尿がどんどん放出されていくさまを、まるで奇跡のように見つめました。生命とは、なんと偉大な奇跡なのかと。思い知らされました。

すべての人々が心を合わせて、一体となって、みんなで大きな山を乗り越えたという確かな実感がこみあげてきました。ケニアで、日本で、そして世界のあちこちで、祈っていてくれた皆さん、本当にありがとう!感謝と喜びでいっぱいです。



これから、注意深く経過を見守っていかねばなりませんし、拒絶反応なども乗り越えていかねばなりません。まだまだ奮闘は続いていきます、が、この大切な一歩を、多くの人々と共に踏み出すことができたこと、心から感謝申し上げます。

厚く高くそびえたっていた強固な壁を打破して、新しい場所に出たような、そんな気持ちです。その壁の向こうには、またさらなる道が延々と伸びています。どうか、この道をさらに共に歩んでいけるよう、力をください。

「生きたいから、がんばるんだ!」というカテンベのまっすぐな気持ち、そして、体を張って息子を助けようとしたお母さんの愛情。それに共鳴してカテンベを支えるために集まってきてくれた人々。

ありがとうございます。本当にすごい光に触れさせていただきました。

うまく言葉になりませんが、心の奥底からの感謝をこめて、このご報告を送らせていただきます。すべてに、本当にありがとう。

早川千晶
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by keep_music | 2006-10-27 09:12 | 経過報告
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