2006年10月27日 早川千晶
早川千晶

カテンベ腎臓移植基金の設立にあたって
カテンベの紹介
基金口座振込み先
UPEPOアフリカの風ネットワーク

手術後1日たったカテンベとお母さんの様子をご報告します。

今日もまた朝早く匡哉と共に病院に行きました。まずはカテンベ。ほんとによくおしっこが出たようです。ムウォンゲラ先生は嬉しそうに、「なんとすでに6リットルものおしっこが出ているよ」と言いました。「お母さんの腎臓は、もう確実にカテンベの体の一部になったね」という言葉に感動がこみあげました。おしっこの量で腎臓の働きぶりが具体的にイメージできて、よけいに感動しました。臓器とは、本当にすごいものですね。「6リットルおしっこが出たよ」という言葉を聞いて、嬉しくて泣き合ったり、手を取り合って飛び跳ねたりしている自分たちの姿は、よく考えてみるとなかなか笑えます。

カテンベはまだぐったりとしているけれど、私たちに手を振ってくれました。

次にお母さんに会いに行きました。お母さんの部屋をのぞくと、ベッドに誰もいない。なんと、カテンベ会いたさに、ひとりで歩いてICU(集中治療室)まで行っていたのでした。もう歩けるほどになったのか、と、びっくりしました。お母さんはとても落ち着いていてすごい体力です。それと顔がまるで菩薩のように慈愛に満ちた静かな表情になっていて、これにも驚きました。お母さんに、「カテンベはミラクル・ボーイだとみんなで話しているけど、あなたはまさにミラクル・マザーだね」と言ったところ、お母さんは笑って、こう言いました。

「人間が生まれる日と死ぬ日はひとつだけ。決められた日があるんだよ。その決められた日に到達していなければ、どんな目にあっても必ず息を吹き返してこの世に戻ってくる。決められた日がやってきたら、どんなことをしても死ぬんだよ。私は、これまでの人生で身の回りに大変な重病人と死んでいく人々を見てきたから、そういう真実がはっきりとわかる。だからね、その決められた日が来たから死んだとしても、それは嘆かなくていい。

決められた日まで、ひたすら精一杯生きる。それだけだよ。」

ああ、そうなんだ。この話を聞いていて涙がこぼれました。

私は、これからのカテンベの人生はどうなっていくのだろう、(これでどのくらい生きられるのだろう)、ということを、ふっと考えると不安になるときがあり、それであわてて不安を打ち消して、考えないようにしていました。調べていたら、腎臓移植後に何年間生きた例だとか、移植後10年間生きたけど癌になって亡くなったという例を聞いたりすると、胸が痛くてたまらなくなったりします。カテンベは今15歳です。5年で20歳、10年で25歳、15年で30歳・・・と数えはじめると、ため息が出てきます。元気になって走り回れるのがとても楽しみで、だけどそれと同時に、「でもまた腎臓が機能停止したとしたら・・・どうしよう・・・」と思うと、涙が出てしまっていました。

だけど、今日のお母さんの言葉は、生と死の境をくぐりぬけてきた経験があるからこそ言える深い真実に満ちた言葉でした。誰にでも決められた日があり、その日が来たら死ぬ。それまでの日々を、ひたすら精一杯、一生懸命生きるのみ。それがいかに尊いことか。

あと何年生きられるのだろうか、ということを、今心配しても仕方がありません。

いや、そんなことは考えても意味がない、と思いました。

カテンベが元気になって、学校も出て、仕事について、恋をして結婚して、子供もできて・・・そんな頃に15歳の自分がみんなと共にくぐりぬけた闘いを思い出して、カテンベはどんなふうにそれを自分の子供たちに話すのだろうね!と、その姿を想像しながら話をして、みんなで笑いました。

さて、昼ごろになるとお母さんもカテンベもどんどん元気になってきました。お昼ごろにカテンベがICUを出て一般病棟の個室に移動しました。そしてまもなくお母さんも、カテンベと同じ部屋に入れてもらうことができました。この個室は、これから1週間の間、できるだけ外部との接触を避けるようにしなくてはならず、(感染を防ぐため)、1週間は私たちは中に入ることができません。しかし、小さな丸いガラス窓がついているので、そこからのぞけば中が見えます。拒絶反応を抑えるために、大量の免疫抑制剤が投与されますので、感染は命取りになってしまいます。

お母さんと一緒の部屋にいられれば、おしゃべりをして気もまぎれるので、同じ部屋に移動できて本当によかったです。

今日の最後には、カテンベは普通にご飯を食べれるまでになりました。

私たちがのぞいている小さな丸いガラス窓に向かって、元気に手を振っていました。

新しい人生の2日目がこうして過ぎていきました。一瞬一瞬、一日一日がこんなに輝いているということを、あらためて知りました。カテンベを中心にして、たくさん、たくさんの笑顔が咲いています。見るものすべてがキラキラと輝いて見えるようで、不思議ですね。

早川千晶
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by keep_music | 2006-10-31 12:53 | 経過報告
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